言葉によるマルチメディアコンテンツへのアクセス
〜個人の感性や言語感覚に適応する自然言語インタフェース〜
ネットワークを介した音楽配信サービスにおいて、配信される曲の指定方法としましては、 ジャンル指定(クラシック、ニューミュージック、演歌、アニメ曲など)、アーティスト指定(歌手名、作曲家名など)、販売時期指定(最新曲、懐メロなど)が一般的ですが、
私どもが研究開発しているのは、印象指定の方法です。すなわち、「静かで落ち着いた感じの曲」、「明るくて優しい曲」、 「ゆったりとした感じの爽快な曲」というように、曲の印象を言葉で入力することにより楽曲検索できるというものです。
クリスマスやお誕生日などの楽しいイベントのときには「楽しくて明るい曲」、気分が落ち込んだときには「元気の出る曲」、 リラックスしたいときには「リラックスできる曲」、格調高い喫茶店では「静かで落ち着いた感じの曲」といった使い方が可能です。
研究開始1年目の成果としまして、10対の印象尺度(印象語の対からなる評価尺度)の中から1対以上を選択し、 それぞれを7段階評価することにより楽曲検索を行うシステムをWeb上で公開しています。 操作は簡単ですので、是非一度お気軽にお試しください。
なお、 楽曲ジャンルはクラシックのみ、検索可能な楽曲数は160曲です。
デモシステムその1 (グラフィカルユーザインタフェースを有する印象に基づく楽曲検索システム)
2年目、3年目の成果としまして、利用者の自由かつ自然な印象入力(例えば「静かで落ち着いた感じのする曲を聴きたい」といった言葉による入力)を理解し、 検索するシステムを公開しています。お気軽にお試しください。
デモシステムその2 (自然言語インタフェースを有する印象に基づく楽曲検索システム)
次に目指したのは、個人適応です。印象には個人差があります。 すなわち、同じ曲を聴いても同じ印象を受けるとは限らないですし(印象の受け方における個人差)、同じ印象を受けたとしてもその印象を同じ印象語で表現するとは限りません(受けた印象の言語表現の仕方における個人差)。
このような2種類の個人差をどう扱い、どう解消していくか、というのは非常に解決が困難な研究課題です。
4年目、5年目の成果としまして、第1の個人差(印象の受け方における個人差)を軽減する個人適応型の楽曲検索システムを構築しました。
ベースは「デモシステムその2」です。この個人適応システムで FIT2004論文賞 を受賞いたしました。ありがとうございました。
テキストからの印象マイニング 〜言葉が伝える印象(ニュアンス)の可視化と様々なアプリケーションへの応用〜
言葉は、明示的な意味だけでなく、様々な印象(ニュアンス)を伝えます。 例えば、「桜が満開になった」という表現は、その事実だけでなく、楽しいという感じやワクワク感を伝えます。
このような言葉が伝える印象をその表現(つまりテキスト)から自動抽出できれば、様々なアプリケーションへの応用が可能となります。 例えば、
「〜ってどうなの?」型質問応答システムWeb OpinionPoll
現在のバージョンでは、「怒ってばかりの母親ってどうなの?」や「育児に参加しない父親ってどうなの?」のような意見要求型の質問文を入力すると、インターネット検索により回答となりそうな関連ページを収集し、各関連ページの印象を2種類の印象平面(喜び⇔悲しみ × 恐れ⇔怒り、期待⇔驚き × 受容⇔嫌悪
記事の印象を伝えるニュース番組自動生成システムwEE(ウィー:News
Reader with Emotional Expressions)
Web上のニュースサイトから収集した記事の印象に合わせて、番組用BGM(明るいBGMもしくはBGMなし)とニュースキャスターの声色(明るい声、普通の声)を決定します。その結果、明るい話題のニュースを明るく、暗い話題のニュースを怖さや緊迫感を和らげながら、明るめに伝えることが可能となりました。なお、感情音声合成には株式会社アニモのFineSpeech Ver.2
Emotional Optionを、CG生成にはNHK放送技術研究所の番組記述言語TVMLを利用しています。

単語の印象を考慮した語彙レベルの言い換え方式
近年、Web上には大量かつ多種多様なWebページが存在しており、Web検索システムや質問応答システム、評判分析システム等の貴重な情報源となっています。しかしながら、Web上の情報の多くはテキスト形式で記述されているため、記述スタイル(文体やボキャブラリなど)という点において個人差が大きく、Web上の情報を精度よく獲得するのは容易でありません。そこで、私どもは、「育児に参加しない父親」のようなトピック表現(文字列)がクエリとして入力されたときに、そのトピックに関し何らかの記述のあるWebページを正確かつ網羅的に収集するトピック検索方式の実現を目指しています。その第1段階としまして、これまでに、単語1語を別の単語1語に変換する語彙的言い換え方式を提案しました。本方式の特徴は、言い換えの妥当性を判定するために、単語どうしの前接関係・後接関係・述語関係を示す共起辞書だけでなく、ある特定の印象評価軸に沿って対比させられた2つの印象語群との共起関係を示す共起辞書(前出の共起辞書と区別するために『印象辞書』と呼んでいます)を用いている点にあります。
記事の印象を考慮したユーザ選好モデリングに基づく個人適応型ニュースポータルシステムMPV Plus(My
Portal Viewer Plus)
ニュース記事に対するユーザの選好をユーザが興味のある『トピック(キーワード)』と閲覧した記事の『印象』の両面からモデル化し、ユーザの選好に合う記事を推薦するシステムMPV Plusを提案しています。
共同研究者である河合由起子先生(京都産業大学)が本テーマでFIT2005ヤングリサーチャー賞を受賞されました。おめでとうございます。
Last updated on September 25, 2007